日本の住宅は、四季を通じて厳しい温度変化にさらされます。
そのため、快適な住まいを実現するためには、断熱性能が非常に重要です。
近年、断熱性能を表す「断熱等級」は、最高等級が7まで引き上げられ、2025年以降は一定以上の等級が義務化されるなど、その重要性はますます高まっています。
今回は、断熱等級について、その定義や等級ごとの違い、関連する指標や制度などを解説し、住宅選びやリフォームにおける判断材料を提供します。
断熱等級とは何かを徹底解説
断熱等級の定義と重要性
断熱等級は、住宅の断熱性能を示す指標です。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づき、建物の断熱性能と省エネルギー性能をランク付けするものです。
数字が大きいほど断熱性能が高いことを意味します。
快適な室内環境の維持、光熱費の削減、ヒートショックリスクの軽減など、様々なメリットがあります。
断熱等級のレベルと基準値の違い
断熱等級は、1~7の7段階に分類されます。
2022年までに、等級5、6、7が新たに設定されました。
各等級は、UA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(平均日射熱取得率)という2つの指標に基づいて評価され、地域区分によって基準値が異なります。
UA値は熱の逃げやすさを、ηAC値は日射熱の入りやすさを表し、いずれも数値が低いほど断熱性能が高いことを示します。
UA値とηAC値の解説
UA値は、建物全体から逃げる熱量を表す指標で、値が小さいほど断熱性能が高いです。
ηAC値は、太陽の熱がどれだけ室内に伝わるかを表す指標で、値が小さいほど冷房負荷が小さくなります。
これらの値は、断熱材の種類や厚さ、窓の種類、気密性などによって影響を受けます。
地域区分による基準値の違い
日本は、気候条件の違いを考慮して8つの地域区分に分けられています。
地域区分によって、各断熱等級を満たすためのUA値とηAC値の基準値が異なります。
寒冷地では基準値が厳しく、温暖地では緩くなります。
ZEH基準との関係性
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とは、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロにする住宅です。
ZEH基準を満たすには、断熱等級5以上の性能が必要です。
ZEH住宅は、国からの補助金制度の対象となる場合もあります。
HEAT20との関係性
HEAT20は、高断熱住宅の普及を推進する団体が定めた、より厳しい断熱性能基準です。
HEAT20のG2レベルは断熱等級6、G3レベルは断熱等級7とほぼ同等です。
断熱等級を確認する方法
新築住宅の場合、建築士から省エネ基準(断熱等級4)の適否について説明を受ける義務があります。
断熱等級4以上の性能を確認するには、住宅性能表示制度を利用します。
中古住宅の場合は、住宅性能評価書を確認する必要があります。
断熱等級と住宅選び・リフォーム 断熱等級の選び方
断熱等級を上げるメリット
断熱等級を上げることで、快適な室内環境、光熱費の削減、ヒートショックリスクの軽減、健康増進などのメリットが得られます。
断熱等級を上げるデメリット
断熱等級を上げるには、高性能な断熱材や窓を使用するなど、初期費用が高くなる可能性があります。
各等級のメリットデメリット比較
各等級のメリット・デメリットを比較検討し、予算やライフスタイルに最適な等級を選びましょう。
等級が高いほどメリットは大きくなりますが、費用も高くなります。
2025年以降の断熱等級に関する法規制
2025年以降、新築住宅には断熱等級4以上の性能が義務化されます。
2030年には、さらに高い断熱性能が求められると予想されます。
最適な断熱等級の選び方
最適な断熱等級は、予算、居住地域、ライフスタイルなどを考慮して決定する必要があります。
専門家への相談も有効です。
断熱等級向上のためのリフォーム方法
断熱等級を向上させるリフォームには、断熱材の追加、窓の交換、気密性の向上などがあります。
リフォーム費用や効果などを考慮して、最適な方法を選択しましょう。
まとめ
今回は、断熱等級の定義、等級ごとの違い、UA値・ηAC値、ZEHやHEAT20との関係性、断熱等級を上げるメリット・デメリット、2025年以降の法規制などについて解説しました。
住宅選びやリフォームを検討する際には、断熱等級を重要な判断材料として、ご自身の状況に最適な等級を選択することが大切です。
断熱性能の向上は、快適な住まいを実現し、光熱費の削減や健康増進にも繋がります。
専門家への相談も活用し、より良い住まいづくりを進めてください。
